コットンはどのように生産される?

その質の違いと繊維の特徴について

私たちが普段着用している衣類の多くが、コットンから作られています。しかし、そのコットンがどのように生産されるかまで深く考える機会はあまりないことでしょう。今回の記事では、コットンの生産の流れを紹介しながら、質の違いは何に左右されるのか、コットン繊維にはどんなメリットがあるのかなどについても触れていきます。

1. コットンの生産国

コットンの原料となるのは、綿花(ワタ)という植物の種子からとれる繊維です。種のまわりにふわふわとした繊維がまとわりついている植物の姿を見たことがあるという方も、きっとたくさんいらっしゃることでしょう。その繊維がいくつかの工程を経て、私たちの生活に身近なコットンに生まれ変わるのです。そんなコットンの原料は、実は現在の日本ではほとんど生産されていません。明治時代までは和綿という名前で生産されていたのですが、現在ではゼロと言ってもよいでしょう。

ではどこでコットンが生産されているのかというと、そのほとんどは、発展途上の国や地域です。2017年のコットン生産量が多かった国を見ていくと、1位がインド、2位が中国、3位がアメリカとなっています。中でもインドでのコットン生産量は近年増加してきていて、以前1位だった中国を抜いて現在ではトップです。世界のコットン生産量の約27%はインドが占めています。また、農薬や化学肥料を使わないオーガニックコットンに関して言えば、その半数以上がインドで生産されたものになっています。

2. コットンができるまで

コットンを生産するには、まずは綿花を栽培するところから始まります。綿花の栽培に適しているのは、霜が降らない季節が長くあり、年間降水量が600~1,200㎜ある地域、つまりはある程度温暖で湿潤な地域ということになります。インドはまさにこの気候に当てはまります。

綿花が育ったら、種子のまわりについたふわふわとした繊維を取っていきます。取った繊維は、この段階で長いものと短いものに分けられます。長い繊維は「リント」と呼ばれ、これを原料として世界各地の紡績工場で糸を作っていくことになります。糸にすることができない短い繊維の方は、クッションの中綿などに使われています。

紡績工場に運ばれたリントは、まずゴミや不純物を取り除いた上で、繊維のかたまり(ラップ)にされていきます。ラップはきめの細かい串に通され、繊維の向きを揃えながら棒状にされていきます。この棒状のものは「スライバー」と呼ばれます。いくつかのスライバーを一つにまとめ、強く引っ張って繊維の向きをさらに整えてという工程を何度か繰り返していくと、「粗糸」というひねりの弱い糸が出来上がります。この粗糸を使用目的に合わせてさらに強く撚っていく工程(精紡)を経ると、糸の完成です。あとは、この糸を織っていくことで、コットン生地が完成します。

3.コットンの質の違い

コットン生地の質を左右しているのは、綿花の種子から取れた段階での繊維の長さです。コットン繊維はその長さごとに、超長繊維、長繊維、中長繊維、中繊維、短繊維という風に区別されているのですが、繊維が長いものになるほど肌触りが滑らかで、光沢感のあるコットン生地を作ることができます。中でも繊維の長さが35㎜以上の超長繊維は、高級コットンの原料としてとても重宝されています。

また、先ほど紹介した紡績工場での精紡という工程で、粗糸をどれだけ強く撚っているかによっても、コットン生地の質感は変わってきます。精紡の時の撚り方が強いほど、強度がありしっかりとしたコットン生地が出来上がります。逆に撚り方がそれほど強くない場合は、やわらかい質感のコットン生地に仕上がります。

それでは、オーガニックコットンは従来のコットンと比べて質が高いのでしょうか。実は、オーガニックかどうかだけでは質にはそれほど違いはありません。ただし農薬や化学肥料を使わずに栽培した綿花からコットン繊維を取っているので、人体や環境に対しては負荷が少ない優しいコットンと言えるでしょう。

4.コットンの繊維の特徴

コットン繊維の大きな特徴といえば、その吸水性の高さと通気性の良さと言えるでしょう。例えばコットン生地から作られたTシャツは、汗をよく吸収してくれます。さらにその通気性によって熱を外側に逃がしてくれるので、清涼感のある着心地が保たれます。

それでは冬の寒い時期には困ってしまうような気もしますが、コットン繊維は保温性にもとても優れています。その秘密は、コットン繊維の構造に隠されています。コットン繊維は中心に空洞が通っているのですが、これによって熱が放出されにくくなっています。

ただし、コットン繊維にはデメリットも存在しています。コットン繊維には、水分を吸収した後に乾燥すると、以前より縮んでしまうという性質があります。衣類の洗濯を繰り返したらだんだんと縮んでいってしまったという経験をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。コットン生地から作られた衣類ではこれが起こりやすいのです。また摩擦による毛羽立ちも起こりやすいのもデメリットです。コットン繊維は、着用や洗濯の繰り返しにはあまり強くないということになります。

このように、コットン繊維にはメリットもデメリットもいくつかあります。しかし、コットン生地から作られた衣類の着心地の良さは、とても大きなメリットです。そのため、アンダーウエアやTシャツ、ジーンズなど、幅広い衣類にコットン生地が使われています。

5.まとめ

ここまでお伝えしてきたことから、普段着ている多くの衣類に使われているコットンをより身近に感じていただけたでしょうか。はるか遠くの国で育てられた植物が、着心地の良い衣類となって私たちの生活に潤いを与えてくれていることがわかります。

ナチュラプラでは、100%オーガニックにこだわりながら、質の高いコットン製品の生産から販売までを手がけています。様々なタイプのコットン製品を用意しておりますので、ぜひ一度お試しください。